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「イースI」がそのゲームシステム最大の売りとしたのは、高度なスクロール技術でした。今となってはもはや驚くにもあたりませんが、当時の8Bit機において、フルカラー(とはいえせいぜい16色程度)のグラフィックで描かれたフィールドマップを高速かつ滑らかにスクロールさせるには高度なプログラミング技術が必要で、実力のある一部のソフトハウスが実現できるにとどまっていました。現に日本ファルコムのライバルだったT&Eソフトの「ハイドライド」シリーズさえ、スクロールを実装していたのは一部の機種だけです。
「イースI」のフィールドマップは、凝ったグラフィックで描かれていました。滑らかな曲線を描く山道や廃坑の内壁はもちろんのこと、草原の木を無理なく配置するために「自動植林プログラム」なるものまでが作られています。こうして作られたマップは見栄えのするもので、それがキャラクターの重ね合わせを実現しつつ滑らかにスクロールするというだけでも、当時は驚くべきことだったのです。

スポット処理される廃坑内。「イースI」の技術力の一端を見せつけた。
その技術力の一端は、円形スポット処理にも伺えます。「暗いところでは自分の周囲の僅かな範囲しか見えなくなる」という演出は「ウィザードリィ」の昔からありましたし、「ドラゴンクエスト」(1986/5・エニックス)にもありました。しかしその多くは、区画やチップキャラ単位で(つまり「四角く」)見える範囲を制限するというものです。「イースI」のような円形スポット処理は高度な重ね合わせ技術を必要とするもので、それまでなかなか例のないものでした。